私の糸魚川暮らし:File03

私の糸魚川暮らし:File03

移住は冒険だと思います。
「大切な何か」を手にするための
チャレンジだと思っています。

亀田 邦彦(62歳)

富山県富山市出身。
2018年12月、糸魚川市大町に
自家焙煎珈琲 樵cafeをオープン。
 

新潟県糸魚川市大町1-2-3(GoogleMap

 

ーなぜ糸魚川に?

地元富山県民のいない町でストレスを発散する時間が欲しいと思った時、条件を満たす最も近い町が糸魚川でした。大火の前から足を運び、飲み街の方々にもずいぶん助けられました。
定年退職を前に、舞台関係の仕事と自家焙煎カフェの開業を並行して考えていました。自家焙煎カフェの開業予定地として、上越市、糸魚川市、富山市を候補にあげ、移住の3年前から物件探しを始めました。
いえかつ糸魚川ホームページを見ていたところ、糸魚川駅前地区の好条件の場所が売りに出ていたので購入し、家族の理解を得て単身糸魚川に移住しました。良い物件がなければ舞台にかかわる仕事についていたかもしれません。

店舗外観 駅近くの店舗兼住宅だった空き物件を購入した。

店舗外観 駅近くの店舗兼住宅だった空き物件を購入した。

ー糸魚川で開業をしようと思った理由は?

在来線駅に新幹線駅があるのは、地方としては大変恵まれたことです。しかも、駅から海まで350mなんてこんな素晴らしい立地はありません。
特定の利権を持つ人たちが、「みんなで栄えることが自分も栄えることになる」原則を尊重すれば、この町はとてつもない発展の可能性を秘めていると考えています。
そんな駅前地区の目立つ場所に本格的なカフェがないことが、人の流れのボトルネックになっているように見えてとても残念に思えました。自分がその役割を担ってみたら、かろうじて生活する程度のことぐらいはできる気がして、売り物件を見たときに思い切って動きました。一度人生をリセットするつもりで、退職金のほぼすべてをつぎ込むチャレンジに踏み切ったのです。

(左)改修後 (右上)改修前 (右下)改修中

(左)改修後 (右上)改修前 (右下)改修中

ー開業して思う事は?

今、開業したばかりで無我夢中です。
開業前、「外から丸見えの店に糸魚川の人は入らない」、「禁煙の喫茶店なんかすぐ潰れる」、「400円を超えるコーヒーなんて誰も飲みに行かない」と多くの方に言われました。しかし、「外から丸見え」の「禁煙」で、ちょっと洒落た雰囲気で本格的なコーヒーが飲める店を、こんなにも多くの方々が心待ちにしてくださっていたのだと驚いています。
コーヒーを口に含んだ瞬間、表情が明るくなるお客様を見て、心から嬉しい気持ちになります。自分の存在を認めていただいた気分になります。お客様の期待を裏切らないように自己満足せず経験を積み重ね続ける事しかないと思っています。
糸魚川特有の「とりあえず一度だけ行ってみる」需要が通り過ぎた後、本当の姿があるのだと考えているので、そのときの1手2手をしっかり準備しておこうと思います。
全面改装してカフェとして生まれ変わった店内

全面改装してカフェとして生まれ変わった店内

ー移住を考えている方へ

糸魚川のひとたちは優しいです。しかし、ここは都会ではありません。糸魚川に限ったことではありませんが、閉鎖的・排他的なムラ社会もあると考えて、事前の調査と覚悟が必要です。予定している地域の方に恥ずかしがらずに聞くと、親切に教えていただけるはずです。事前にわかっていれば対策や準備もできることが多いと思います。
一方、周囲の意見や忠告を聞くことは大切ですが、自分の信念や方向性を簡単に曲げては新しいことに踏み出せません。新規店舗の開店で言えば、人の話のとおりにするだけだと、いまはなくなってしまった多くの店のたどった運命をなぞることになります。
ひとりひとり事情も考え方も違いますが、移住は冒険だと思います。「大切な何か」を手にするためのチャレンジだと思っています。自分の知らない自分を見つけて「これが本当かもしれない」と思う姿を描いてみるのも良いのではないでしょうか。